研究課題/領域番号 |
18390517
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
松家 茂樹 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00108755)
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研究分担者 |
宮本 洋二 秋田大学, 医学部, 教授 (20200214)
中川 雅晴 九州大学, 歯学研究院, 講師 (80172279)
石川 邦夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (90202952)
竹内 あかり 九州大学, 歯学研究院, 助手 (40432918)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2009
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キーワード | 炭酸アパタイト / 骨置換材 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 石膏 / 炭酸カルシウム |
研究概要 |
炭酸アパタイトの優れた破骨細胞吸収性に着目し、炭酸アパタイトブロックの調製法ならびにその材料学的特性、骨伝導性および吸収性を調べ、骨置換材としての有用性を検討した。石膏の硬化性を利用して任意形状のカルサイト/石膏複合硬化体のペレット状試料を作製し、各種リン酸塩水溶液中での水熱処理による炭酸アパタイトブロックの調製を試みた。水熱処理により形態変化することなく炭酸アパタイトへと転化することができた。処理後の強度は石膏含有量に依存したが、ダイアメトラル法による引張強度値で2-4MPaの値が得られた。Na塩で処理した場合に処理後の強度が最も大きくなった。XRDによる結果では、24 時間水熱処理により石膏およびカルサイトはアパタイト相へと転化していたが、一部カルサイトの残存が認められた。処理時間を延ばすことによりカルサイトも消失しアパタイトへと転化した。炭酸カルシウムのうち、カルサイトより溶解性の高いバテライトを用いた場合は、転化速度が大きくなる傾向にあった。FT-IR分析、熱分析およびCHN分析結果を総合すると、Bタイプの炭酸アパタイトが主に生成しており、アパタイト中に含まれる炭酸イオン含有量は10~22%の範囲にあり、アンモニウム塩<カリウム塩<ナトリウム塩の順に高くなっていた。また、同一塩で比較すると塩基性の高い塩ほど炭酸イオン含有量が高くなる傾向にあった。Na 塩を用いた水熱処理で得られた炭酸アパタイトブロック上での骨芽細胞の細胞付着性、細胞増殖はコントロールとしてのHAP焼結体とほぼ同程度であった。ALP活性およびオステオカルシンといった分化マーカーについては、第3リン酸ナトリウムで調製した炭酸アパタイトではHAP焼結体より有意に増加していた。一方、HAP焼結体では、破骨細胞による吸収窩は観察されなかったが、炭酸アパタイト上では吸収窩が観察され、調製した炭酸アパタイトの吸収性が確認できた。本研究結果は、任意形状の炭酸アパタイト系骨置換材の調製法として期待できることがわかった。
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