研究課題/領域番号 |
18390518
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古谷野 潔 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (50195872)
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研究分担者 |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
荻野 洋一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (50380431)
石川 邦夫 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (90202952)
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キーワード | 骨増生 / スタチン / インプラント / ドラッグデリバリーシステム |
研究概要 |
我々はこれまで、高脂血症治療薬である statin の全身投与がインプラント周囲の骨形成に有効であることを報告した。また、statinの局所投与においても骨芽細胞の分化増殖促進、および破骨細胞の分化抑制効果を確認している。しかし、局所投与においては、薬剤を局所に長期間とどめることが困難であるため、全身投与ほどの骨増生効果は得られていない。そこで statin の局所投与が最大限の効果を発揮するため適切なドラッグデリバリーシステム(DDS)および足場(scaffold:Sc)を検討するため、昨年度種々のDDS、Sc組み合わせを検討した。その結果を踏まえ、本年度は昨年度検討したDDS、Scの組み合わせについてイヌに作製した人工骨欠損に応用した際の反応について検討した。 イヌ第一臼歯を抜歯し、昨年度の実験において決定したstatin,DDS,Sc(alpha-TCP+アテロコラーゲン、アルギン酸プロピレングリコール)の組み合わせを抜歯窩に局所投与し、再生皮質骨厚さ、海綿骨密度、骨芽細胞・破骨細胞数測定とした。また、骨基質タンパク形成の状態を把握するため、骨基質タンパクや炎症性サイトカインの定量を行った。その結果スタチン投与により皮質骨厚さ、骨密度が向上し、抜歯窩の治癒が促進されることが示唆された。また、局所において骨基質タンパク量の増大と炎症性サイトカインの減少が認められた。この結果を基に、来年度は上記実験のサンプル数をふやすことにより実験結果の精度を高めるとともに、in vitro、in vivo(人工骨欠損モデル、骨折モデル)において、statinが骨芽細胞系、破骨細胞系にどのような影響を与えているか、分子生物学的に検討する予定である。
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