研究課題/領域番号 |
18390519
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
池田 通 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00211029)
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研究分担者 |
井奥 洪二 東北大学, 大学院環境科学研究科, 教授 (60212726)
米澤 郁穂 順天堂大学, 医学部, 講師 (80327858)
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キーワード | 骨代替材料 / 骨代謝 / 骨吸収 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 骨形態計測 / 細胞培養 / カルシウム |
研究概要 |
我々が開発した微細柱状粒子を有するβ-TCP(柱状β-TCP)を体重2.5kgの日本白色種ウサギ大腿骨遠位端に移植した予備実験において、移植12週までに良好な吸収性と新生骨による置換反応が認められたため、柱状β-TCPが骨伝導能を有する吸収置換型骨代替材料であることが確認されたが、平成18年度は、今までにほとんど報告さていないさらに長期間の経過観察と詳細な分析を行った。その結果、移植24週後には、柱状β-TCPは良好な吸収と活発な新生骨形成が認められたが、対照として用いた非柱状粒子を有する通常のβ-TCP(非柱状β-TCP)は、急激な吸収により、移植したβ-TCPのみならず12週までに形成されていた新生骨組織まで吸収され、移植部位は軟組織主体の組織構成となっていた。 このような結果がもたらされた原因を探るため、さらに詳細な骨組織観察を可能とする粘着テープを用いた非脱灰骨組織樹脂包埋切片薄切法を開発した企業と共同研究を進め、この方法を用いて、(1)移植後12週までに骨代替材料と新生骨組織からなるモザイク状の組織が構築されること、(2)このモザイク状組織がその後さらに吸収を受け再構築される過程で、柱状β-TCPはそれらの吸収と新たに加わった新生骨組織との吸収と形成のバランスがとれているが、非柱状β-TCPでは吸収が強く、硬組織が残りにくいことが強く示唆される結果が得られた(Biomaterials, in press)。 この報告は、吸収置換型骨代替材料は生体内で新生骨形成とのバランスがとれた適度な吸収性を有する必要があることを世界で初めて示したものであり、今後の骨代替材料開発の新たな指標を示したものといえる。また、代謝活性が低下している高齢者等では、本研究課題の、RANKLを用いた骨代替材料の代謝活性調節が有効であることを示唆していると判断された。
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