研究課題/領域番号 |
18390529
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50301891)
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研究分担者 |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (80241321)
樋田 京子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40399952)
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キーワード | ARE-mRNA / アデノウイルス / E4orf6 / c-fos / c-myc / 核外輸送 / 安定化 / HuR |
研究概要 |
AU(アデニン-ウラシル)-rich element (ARE)はc-fos、c-myc、COX-2などの細胞の増殖に関わる遺伝子のmRNAに存在する。我々はアデノウイルスの研究により、ARE-mRNAが核外輸送・安定化され、細胞ががん化されることをこれまでに見出している。本研究の目的は、ウイルス発がんで見られたこの細胞がん化機構が、口腔がん細胞中でも見られるか検討することである。 昨年度は、口腔がん細胞のHSC3等では、ARE-mRNAやそれに結合して移動するHuRタンパクが細胞質側に輸送されていることを明らかにし、さらに、口腔がん細胞ではc-fos、c-mycなどのARE-mRNAが安定化されていることも解明した。 本年度は、HuRをRNAi方でノックダウンしてARE-mRNAの輸送・安定化を阻害できるかどうか、また口腔がん細胞の性質が変化するか検討した。HuRをノックダウンするためのsiRNAを設計し、口腔がん細胞のHSC3等にそのsiRNAを導入したところ、効率よくHuRタンパクの発現が減少する系が構築できた。HuRをノックダウンした細胞では、c-fos、c-mycなどのARE-mRNAの核外に輸送されておらず、またそれらのmRNAの安定化も見られなかった。さらにそれらの細胞の性質を検討するため、ソフトアガーを用いて、がん細胞の足場非依存性の増殖を確認した。コントロールのsiRNAを導入したHSC3細胞はソフトアガーの中で効率よくコロニーを形成し、足場非依存性の増殖を示した。それに対して、HuRをノックダウンしたHSC3細胞は、ソフトアガー中で全くコロニーを形成することが出来ず、悪性化されたがん細胞が示す足場非依存性の増殖能が消失していることが明らかになった。 以上の結果より、HuRをノックダウンすることによる、新たながん治療のための基礎知識が得られた。
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