研究分担者 |
東川 晃一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80363084)
小野 重弘 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70379882)
重石 英生 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90397943)
瀧 雅行 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00403551)
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研究概要 |
1.目的:浸潤と転移は口腔癌の重要な予後因子であり,この機構の解明と制御は重要な課題である.これまでに多数の口腔扁平上皮癌の解析の結果,高度浸潤型扁平上皮癌が上皮・間葉移行(EMT)を獲得した細胞であること,この機構における転写因子Snailの役割などを明らかにしてきた.EMTに伴って,細胞形態の変化,浸潤能の亢進,蛋白分解酵素の発現上昇,さらに種々の転写因子の発現が誘導されるが,本研究ではこれらの個々の遺伝子産物がどのように浸潤転移に関与しているのかを検討し,その発現にいたるシグナル伝達機構を解明する. 2.実績の概要:(1)上皮様形態を示しE-カドヘリンを発現している扁平上皮癌細胞,間葉系形態を示す高度浸潤型扁平上皮癌細胞,Snail強制発現によりEMTが誘導された扁平上皮癌細胞を用いたマイクロアレイ解析の結果,EMTに伴って変化し高度浸潤能に関連する遺伝子を63個同定した. (2)EMTに伴って発現が消失する遺伝子のひとつとしてp63を同定した,高度浸潤型扁平上皮癌細胞にp63を導入すると浸潤能が抑制され,上皮様形態を示す扁平上皮癌細胞からp63を消失させると浸潤能が 亢進することを報告した.さらに,p63依存的にId3遺伝子の発現が制御を受け,さらにId3によって基質分解酵素MMP2が発現の調節を受けることによって浸潤能が左右されることを明らかにした. (3)EMTに伴って誘導される浸潤能亢進の機構は,細胞接着因子の消失,基質分解酵素の発現上昇のみでなく上皮極性の消失とアポトーシス抵抗性の上昇を伴うことが明らかになりさらに検討を行っている.
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