研究概要 |
1.連続気孔性炭酸アパタイトフォームの作製・調整 連続気孔性炭酸アパタイトフォームを作成するために,軟質発砲ポリウレタンフォームの気孔をDMF溶媒で溶解除去した連続気孔性ポリウレタンフォームにリン酸三カルシウム懸濁液を浸漬し、ウレタンフォームの骨梁表面にリン酸三カルシウムを付着させる.自然乾燥後,フォームを電気炉で加熱することによりリン酸三カルシウムの焼結がおこりフォームを形成する.作製したリン酸三カルシウムフォームを炭酸アンモニウム水溶液とともに水熱処理用ボンベに入れ200℃のオーブンに24時間入れることにより炭酸アパタイトフォームを作製した.作製した炭酸アパタイトフォームをまずSEMにて形態観察を行った結果,連続気孔構造(ジャングルジム構造)を有することが確認された. 2.連続気孔性炭酸パタイトブロックの物性評価 調整した連続気孔性炭酸アパタイトフォームの組成をX線回析装置や赤外分光高度計を用いて解析した.その結果,リン酸三カルシウムフォームを炭酸アンモニウム水溶液中で水熱処理することにより炭酸基が存在しないハイドロキシアパタイトではなく,海綿骨と同じ炭酸アパタイトができていることが確認された.さらに連続気孔性炭酸アパタイトブロックの圧縮強さなど機械的性質を検討したが,非常に脆く操作性に欠けた.強度を得ようとすると気孔率が低くなり骨芽細胞の侵入が困難となる. 3.小動物を用いた経時的な骨形成の組織学的検討 ウサギ大腿骨に骨髄腔まで貫通させた骨欠損を形成し,連続気孔性炭酸アパタイトフォームを埋入した.その後経時的に試料を採取し組織学的に検討を行った.その結果,12週後では炭酸アパタイトの顆粒の形態はほとんど変化が認められず,顆粒周辺にも骨の再生はなかった.
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