研究課題/領域番号 |
18390544
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山本 哲也 高知大学, 医学部, 教授 (00200824)
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研究分担者 |
笹部 衣里 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (40363288)
植田 栄作 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (10203431)
鎌谷 宇明 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (00315003)
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キーワード | Hypoxia-inducible factor-1α / 活性酸素 / 口腔扁平上皮癌細胞 / Manganese-superoxide dismutase |
研究概要 |
口腔扁平上皮癌(OSC)細胞のHypoxia-inducible factor-1α(HIF-1α)の発現誘導における活性酸素(ROS)の役割について検証し、以下の結果を得た。 1)OSC-4細胞にMn-SODに対するsiRNAを導入することにより内在性のROSレベルを上昇させたところ、正常および低酸素分圧下いずれにおいてもHIF-1α蛋白の発現レベルは上昇した。 2)Mn-SODのsiRNAを導入した細胞(SI細胞)では、HIF-1αとpVHLとの会合、さらにはHIF-1αのユビキチン化がコントロールであるMock細胞に比べ抑制された。 3)PHD1-3のmRNAおよび蛋白レベルは、Mock細胞とSI細胞との間に有意差は認められなかった。 4)HIF-1αのmRNAレベルは、正常および低酸素分圧下いずれにおいてもMock細胞に比べSI細胞で高値であった。 5)HIF-1αの転写および翻訳の亢進に関与するERKおよびAktのリン酸化レベルは、正常および低酸素分圧下いずれにおいてもMock細胞に比べSI細胞では亢進しており、HIF-1αの発現はERK阻害剤(PD98059)あるいはAkt阻害剤(LY294002)によって抑制された。 6)ERKおよびAktシグナルの下流に位置し、HIF-1αの翻訳を制御するp70S6K、eIF-4Eおよび4E-BP1のリン酸化レベルは、Mock細胞に比べSI細胞では亢進しており、ERKあるいはAkt阻害剤によりそのリン酸化、さらにはHIF-1α発現は抑制された。 以上のことより、ROSはHIF-1αの発現を誘導するが、その機序として1)PHDI-3の関与しない、HIF-1αとpVHLとの会合、ユビキチン化、プロテアソーム系による分解の阻害、2)ERKおよびAktシグナルの活性化を介するHIF-1αの転写および翻訳の促進、が示唆された。
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