研究概要 |
口腔乾燥症専門外来において、口腔乾燥(ドライマウス)を自覚して受診する患者さん、自覚症状は必ずしもなくても口腔乾燥やシェーグレン症候群(SS)の可能性が考えられ診査を了承された患者さん、および既にSSや口腔乾燥症の診断が確立しており経過中の診査が必要と判断される患者さんなどを対象としてっぎのような検索を可及的に行なった。分析対象症例は78例でSS症例29例nonSS症例49例であった。1)ドライマウス自覚症状(口腔乾燥感)の査定,2)ドライマウス他覚症状(口腔乾燥状態)の査定、3)刺激時唾液量の測定:3-(1)chewing gumによるガム試験,3-(2)ガーゼによるSaxon test、4)唾液腺シンチグラフィー:両側耳下腺と顎下腺に関心領域を設定し、集積のtime activity curve(TAC)を描くとともに、蓄積率、分泌率を算出した。5)MR-sialographyを撮像し分析した、6)口唇腺生検病理組織像定量検査:口唇腺を数個摘出して生検し病理組織検査を行い、4sq mmあたり導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤があるfocus数を計測した。また脂肪化、線維化の程度を判定した。判定には顕微鏡画像解析装置を使用して標本上の組織の全体面積、1個単位の小唾液腺の面積、focusの面積、focus内のリンパ球数などを計測した。7)口腔水分計Moisture Checkerによる口腔粘膜の保湿度検査、8)唾液の屈折率や粘稠度測定:吐唾法にて唾液を採取して超音波式粘度計viscostickにて唾液の粘度を測定した。9)これらの資料の分析の結果は口腔乾燥症(ドライマウス)の分類(日本口腔粘膜学会案)に取り入れ発展させた。10)この分類案の診断基準の妥当性について手持ちの資料を用いて診断の感度、特異度を検定して考察を加えた。
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