研究課題/領域番号 |
18390561
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
和泉 雄一 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60159803)
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研究分担者 |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
町頭 三保 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80253897)
中村 利明 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (60381183)
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キーワード | 内因性カンナビノイド / アナンダマイド / レセプター / 歯周炎 / 歯肉溝滲出液 / 歯肉線維芽細胞 / エンドトキシン |
研究概要 |
内因性カンナビノイドであるanandamide (AEA)がレセプター(CB1、CB2)を介して炎症を制御することが注目されている。AEAはLPS刺激によりマクロファージから産生され、少量では炎症性サイトカインの産生促進作用、多量ではこれらの産生抑制作用を発揮すること、グラム陰性菌性敗血症においては早期ショックの原因メディエーターとして働くことなどが報告されている。そこで本年度は、グラム陰性嫌気性細菌が病因的役割を果たす歯周病の発生病理にAEAとCB1、CB2がどのように関与しているかについて、歯肉溝滲出液(GCF)、歯周炎罹患歯肉および培養したヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)を研究対象として検索した。その結果、1)歯周炎患者12名の歯肉溝滲出液中には、平均濃度4.63μg/ml、平均総測定量16.4ngのAEAが検出された。2)免疫組織化学的検討では、歯周炎罹患歯肉組織中のHGFsと血管内皮細胞にCB1、CB2が陽性であった。3)培養HGFsでは、健康歯肉由来または歯肉炎由来のHGFに比べ、歯周炎歯肉由来のHGFsの方において、CB1、CB2の発現が増強していた。また、LPS刺激により、HGFsにおけるCB1、CB2の発現が誘導された。4)培養HGFsのLPS刺激により誘導されたIL-6、IL-8、MCP-1産生は10μMのAEA添加により有意に抑制された。その効果は、CB1、CB2のアンタゴニストの添加により阻害された。このことより、AEAのIL-6、IL-8、MCP-1産生抑制作用は、CB1、CB2を介したものであることが示唆された。5)培養HGFsにおいてLPS刺激によるNF-κBの活性化は、10μMのAEAにより強く抑制された。これらのことから、ヒト歯周炎患者においてAEA-CB1、CB2経路は、歯周炎の発症に対して抑制的に働いている可能性が示唆された。
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