研究概要 |
我々はこれまでに、歯周病の病態に関して、歯周病細菌Actinobacillus actinomycetemcomitans (A.a.)の病原性を解析し、Cytolethal distending toxin (CDT)による免疫担当細胞のアポトーシスの発現メカニズムについて報告してきた。血流に入り込んだA.a.の血管内壁での病態変化が、心血管系疾患に深く関わっている可能性が高いと考え,A.a.が心臓疾患の発症に果たす役割について解析してきた. まず,A.aが産生する細胞障害性毒素CDTのレセプターである細胞表層糖脂質GM3の発現量を様々な細胞で調べたところ,マクロファージを標的細胞に用いることで,研究が進むということが明らかになった.さらに,今年度,in vitroの培養系で泡沫細胞を形成させ,それを定量的に解析するシステムを開発した.それを用いて,マクロファージをA.a.由来のLPSで刺激して,泡沫細胞形成に及ぼす効果を調べたところ,刺激群における泡沫細胞形成が有意に増加していることが確認された.そこで,次年度に向けて,より分子レベルで解析できるようにマイクロチップを使った培養系の確立に着手した.これまでのところ,3日間培養可能なマイクロチップの開発に成功し,泡沫細胞の形成系で,その有効性を確認しているところである.
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