研究課題
地域住民60歳者270名、65歳者123名と年長者研修校受講者231名の合計624名。年齢は60歳〜81歳、平均64.4歳(男293名、女331名)。メタボリック症候群と非メタボリック症候群の2群で健全歯数、喪失歯数、残存歯数、PD最大値、AL最大値、PD平均値、Bo平均値、咀嚼可能食品数には有意さを認めなかったが、メタボ群で有意に処置歯数が少なく、AL平均値が大きかった。血糖値と残存歯数には負の関係、喪失歯数には正の関係が見られた。また、血糖値とPD最大値、AL最大値、PD平均値、AL平均値、Bo平均値の間に正の関係が見られた。メタボ症候群であるかどうかを従属変数、口腔所見・年齢・性別を独立変数とする重回帰分析では、年齢・性別で補正する前はメタボリック症候群と処置歯数(P=0.009)、AL平均(=0.040)はともに有意の関係があったが、年齢と性差で補正すると、これらの有意な関係は消失した(処置歯数;P=0.083:AL平均;P=0.630)。血糖値とPD最大値(P=0.000)、AL最大値(P=0.000)、PD平均値(P=0.002)、AL平均値(P=0.000)の間には高度に有意な関係が重回帰分析で認められた。性差と年齢で補正しても、血糖値とPD最大値(P=0.025)、AL最大値(P=0.000)、AL平均値(P=0.016)の間には有意な関係が維持された。以上の結果から、メタボリック症候群と口腔所見の関係は一部で有意であった。すなわち、メタボリック症候群では非メタボリック症候群よりも処置歯数が少なく、AL平均値が大きかった。しかし、年齢と性差で補正するとこれらの有意な関係は消失した。メタボリック症候群の構成因子である血糖値で口腔所見と最も密な関係が認められた。血糖とPD最大値、AL最大値、AL平均値の間では性別と年齢で補正しても有意な関係が維持されたことから、メタボリック症候群構成因子のなかでは血糖が最も口腔と関係が深く、血糖はPD最大値、AL最大値、AL平均値の独立した影響因子であることが示唆された。
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