研究分担者 |
松田 正己 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (90295551)
山内 一史 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (20125967)
井口 弘子 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (60345907)
唐澤 由美子 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (40277893)
前田 樹海 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (80291574)
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研究概要 |
H20年度は,主に次の2つの研究を行った。 1)前年の「入院患者のプライバシーの認識尺度(PIPS)」を用いた全国調査結果(回収率47%, 2,881名)をもとに,患者が認識する情報プライバシーの程度の属性等による差について検討した。最もプライバシー意識が高いのは価値観や家計の問題などの「私生活関連情報」(6点満点の3.5点)であり,病名や検査結果などの「治療関連情報」(4.0点),名前や生年月日などの「属性情報」(4.3点),睡眠習慣や食生活などの「日常生活行動関連情報」(4.6点)の順となった。4群のスコアに地域,入院経験,疾患の種類による差は見られなかったが,女性はすべての因子で男性よりもプライバシーを強く認識し,勤め人は無職の人と比べて「私生活関連情報」のプライバシーを強く認識していた。 2)地域看護活動に伴う情報共有に関して住民と行政保健師を対象とする2つのインタビュー調査を行った。住民(難病患者)7名へのインタビュー調査では,疾病の特殊性から周囲,とくに職場に疾病のことを知られたくないという強い思いとともに,患者会などで思いや悩みを話すことで心の負担が軽くなること,逆に,保健サービスの受給申請などでの繰り返し説明を避けるために,もっと職種間での情報共有を望む声など,疾患や状況に応じたさまざまな課題が明らかになった。行政保健師12名へのインタビュー結果では,結核など社会の偏見がまだ残るケース,あるいは虐待疑いなど本人からの同意を得にくいケースにおいて情報共有の判断に悩みを生じること,そして,相手との信頼関係が情報共有の判断に大きな影響を与えることなどが明らかになった。これらの結果を国際学会で発表するための準備,および,H21年度の行政保健師を対象とする倫理的ジレンマの実態と情報共有の意思決定の枠組みに関するデルファイ調査の準備を行った。
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