平成18年度から21年度まで4年間に渡り「ストーマ保有者の生きる力形成に及ぼすWOC看護の効果」の研究に取り組む。本研究の外的基準としてOstomate's Self Adjustment Scale{OSAS:オストミー自己適応尺度}や疾病受容尺度を用いる。今年は研究初年度であるが、これまでの経緯で英国Hertfoldsher大学看護医療学部SimmonsとSmithらと共同開発した英国バージョン自己適応尺度を用いたデータに基づく日英比較を行い、日本、カナダ、香港で研究発表を行った。 今年度の研究より以下を明らかにした。 1)日本と英国において術前からWOC看護師により系統的な患者教育を受けたグループはオストミー自己適応得点が高いことがわかり、主観的な人生の満足度も高いことがわかったが、緊急手術やWOC看護師がいないために術前教育が受けられなかった日本人のグループは得点が有意に低かった。 2)自己適応尺度の日英比較では、調査対象の比率で英国はイレオストミー群がやや高いが性比、平均年齢は有意差が見られなかった。また、一般的な健康、疾病受容度においても同じ傾向が見られた。 3)自己適応尺度では、「入浴やシャワーの不便さ」「ストーマ装具購入の経済的な負担感」で有意差が見られた。 4)日英共同尺度開発プロセスで両国のストーマ保有者における尺度の信頼性はクロンバックα係数0.86以上を示し、十分な結果を得た。 5)さらに国際的に通用する尺度にするために自己適応尺度の短縮バージョンの開発に着手している。 このような成果を踏まえて、18年度は国際共同プロジェクトを拡大し、シンガポール総合病院ET看護師Tay ai氏、イスラエル・テルアビブ看護大学大学院のIzaber氏、ブラジル・サンパウロ看護大学院Bella Santos氏らも本尺度を用いた研究に参加し、次年度以降に続けていく予定である。
|