研究概要 |
1.平成18年度から21年度まで4年間に渡り「ストーマ保有者の生きる力形成に及ぼすWOC看護の効果」の研究に取り組んでいる。本研究の外的基準としてOstomate's Self Adjustment Scale{OSAS:オストミー自己適応尺度}や疾病受容尺度、SF-8のQOL尺度を用いる。今年は研究2年目であるが、これまでの経緯で英国Hertfoldsher大学看護医療学部Simmons、Smithらと共同開発した英国バージョン自己適応尺度(Ostomy Adjustment Inventry-23:0AI23と命名)を用い日英比較を行い、日本、オーストリアで発表を行い、Jounal of ostomy, wound and continence nursingに論文を投稿中である。また、シンガポール総合病院で英語-中国語圏の患者に対するOAI-23の調査を行っている。 2.平成20年2月2日に開催された第25回日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会総会では「ストーマケアに患者と看護師間の相互行為と自己適応との関連性(祖父江正代、前川厚子、竹井留美)」で、最優秀会長賞を授与された。 3.身体に人工的に開孔した穴(気管切開:トラキオストーマ)を伴う喉頭がん患者に関するリハビリテーションの課題についても検討した。コミュニケーション、ボディイメージ、日常生活困難感(入浴、食事、対人関係)など長期にわたる課題が明らかになった。 4.本年度の研究より以下を明らかにした。 1)日本と英国において術前からWOC看護師により系統的な患者教育を受けたグループはオストミー自己適応得点が高いことがわかり、SF8尺度によるQOLとの相関も高いことが明らかになった。 2)日本とシンガポールでは同じアジアでもストーマ保有者の生活状態、患者間格差が大きく、医療と生活文化的な背景を踏まえて更なる検討が必要である。
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