平成18年度から21年度まで4年間にわたり「ストーマ保有者の生きる力形成に及ぼすWOC看護の効果」の研究に取り組んだ。この間に、大腸がんの治療法は大きく変わり、ストーマの手術件数が減少し、外来化学療法が増加している。またストーマ保有者の加齢に伴う介護課題がより深刻な様相を見せている。そこで、在宅療養中のストーマ保有者の複合的な課題について事例検討を行い、WOC看護師の関わり方が対象者の療養の場と治療法に関連して変化していることに着目した研究を進めた。 平成21年度の研究より以下を明らかにした。 1)終末期のストーマ保有者に関わるWOC看護師は、「もう楽になりたい」「つらい、死にたい」というスピリチュアルペインのニーズを的確に捉え、苦痛の除去に努める方略を持つ必要性がある。 2)在宅療養中のストーマ保有者に関わるWOC看護師は介護力不足を補うためにケアマネジャーと連携した支援策を立てる必要性がある。特に視力障害や認知機能障害を伴う場合はストーマ管理も他者に委ねる必要があり、家族機能のアセスメントと具体的な介入計画が重要である。 3)ストーマ造設術を受ける場合の入院期間は約10~17目と短縮している。セルフケア教育は入院中だけでは完結せず、ストーマ専門外来や訪問看護による継続的な管理が不可欠となっている。また、化学療法を受ける場合には、WOC看護師は手足症候群の予測やスキンケア指導、症状コントロールなど高度専門的な知識と技術の提供をしていることが明らかになった。 4)WOC看護師の役割は拡大しており、特にスキンケアと創傷管理においては「ストーマ保有者の生きる力」の活性化に卓越した機能を果たしていることが明らかになった。
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