研究概要 |
本研究は,1.救急初療外来におけるナース、トリアージの実施記録とトリアージ後の診療記録を分析することから,アンダートリアージ,オーバートリアージの発生状況の把握とトリアージに影響を与えた要因を検討し,救急初療ナース、トリアージの問題点を明確にしたうえで,2.トリアージガイドラインを策定しその評価を行うこと,および3.トリアージガイドラインを用いたトリアージナースの教育プログラムの開発を目指すものである。方法として,アクション、リサーチ法を用いフィールドを提供してくれている1救命救急センターの看護師23名とともに実施する計画でスタートした。2年目である平成19年度には,トリアージ問診票の結果と診察後の転帰を比較し,トリアージ時点の判断に疑問のある症例を選別した。データは,2006年9月-10月に研究協力病院救命救急センターを受診した患者のトリアージ問診表から無作為抽出した2201件を対象として,トリアージ問診表の記入状況を入力した。その結果,診察後の転帰が入院のケースにおいて,トリアージの判断の未記入が21.1%であり診察後の転帰が帰宅のケースと比べて2倍の判断保留があった。また,アンダートリアージについては,当該病院が作成したトリアージガイドラインに示す優先順位判断に基づき決定した優先度が,実際の診察後の転帰から逸脱しているものをアンダートリアージとみなし,検討した。アンダートリアージと考えられたケースは,全体の3%であった。アンダートリアージの30.3%が65歳以上である。全体の65歳以上が10.8%であり,高齢者にアンダートリアージが生じやすいといえる。高齢者にトリアージを行う場合,高齢者の特徴を踏まえより注意が必要といえる。一方で,小児においてはフィジカル所見の記入が少ないにもかかわらず,アンダートリアージが少ないことが特徴であった
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