研究概要 |
本研究は,エキスパートナースによる専門的なケアの実際に基づいたデータを分析することにより,特定の看護専門領域のスタンダード看護診断と看護介入を明らかにすることを目的としている。 今年度は,専門分野ごとに調査の実施し,看護診断の重要度や使用頻度などから,各領域における看護診断と看護介入を特定することを計画し実行した。その結果,以下のことが示唆され,日本看護診断学会(2007)において発表した。 1.共同問題の必要性に関する看護師の認識について,1,171名の看護師に調査した結果,NANDA使用者はフローチャートの使用により共同問題は不要と認識していた。一方,共同問題使用者は,術後や病態急変時のクリティカルパスや共同問題は必要と認識していた。 2.呼吸器循環器分野では,入退院を繰り返すCOPD仮想事例の看護診断ラベルの診断指標の傾向を,呼吸器病棟勤務看護師44名の質問紙調査から分析した結果,「ガス交換障害」の診断指標は呼吸困難,低酸素血症,ガス分析が高頻度であることが示唆された。 3.脳血管障害患者の入院時における看護診断の実態を,1病院3年間の入院患者の看護記録を分析した結果,高頻度看護診断ラベルは転倒リスク状態,非効果的組織循環:脳,セルフケア不足シンドローム,皮膚統合性障害であった。 4.終末看護専門分野では,ホスピス入院患者3事例の看護記録を分析した結果,心理社会的、スピリチュアル看護診断よりも身体的看護診断を優先する傾向が示唆され,この結果はNANDA国際学会に受理され2008年11月に発表する。
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