研究概要 |
長崎県A市(離島)にある幼稚園(3箇所)・保育所(25箇所)を利用している父親・母親(全数調査)に対して,家族機能尺度として前年度までに開発した家族環境アセスメント尺度(SFE:The Survey of Family Environment)の日本語版を用いた調査を実施し,有効回答が得られた683家族を対象として家族機能の特徴を量的に明らかにした.さらに,この離島で生活する教育期にある家族を対象とした家族機能のエスノグラフィー(のべ14日間)とSFEを用いた質問紙調査を実施した.13家族への家族インタビューなどから24カテゴリーの家族機能が抽出された.同時に実施したSFEの満足度得点(SS)とニーズ得点(NS)から,エスノグラフィーのエビデンスを補強することができた.また,国内の専門雑誌『家族看護』(日本看護協会出版会)の全13巻を検討し,家族同心球環境モデルに準拠した11の家族の症候を抽出した.これらの結果をもとに,家族アセスメント指標は37項目に修正した後,ロサンゼルスでの家族機能のエスノグラフィー(のべ20日間)を実施し,家族アセスメント指標の英語版を作成した,SFE日本語版の改良に加えて,香港における家族機能のエスノグラフィー(のべ12日間)を実施し,香港における質問紙調査(543家族)によりSFE中文版,ロサンゼルスでの質問紙調査(73家族)によりSFE英語版(いずれもバージョン1.1)を開発した.3年間の成果を統合し,家族環境アセスメント指標,家族内部環境地図,家族環境アセスメント尺度,家族インタビューの4つで構成される家族環境アセスメントモデル(それぞれ日本語版と英語版)を構築した.
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