研究概要 |
本年度は、糖尿病患者の家族が有している「家族マネジメント力」の実態を明らかにし、これらの家族が糖尿病患者とともに健康的な家族生活を営んでいけるようにするための家族教育のポイントを明確にすることを目標として、糖尿病患者の家族を対象とした質問紙調査を実施した。質問紙は、先行研究で本研究者が開発した「家族マネジメント力測定スケール」と、家族の行動には家族が持っている健康に対する価値・信念が影響すると考えられるため、回答者の健康に対する信念を問う「日本版HLC(主観的健康統制感)尺度」(堀毛,1991)を用いた。対象者は、3県5病院に通院中の糖尿病患者の家族270名で、155名から回答を得た(回答率57.4%)。 回答の詳細な分析はまだ終了していないが、ほとんどが外来通院のみ(入院経験なし)の患者の家族であり、看護師から具体的な家族教育を受けた経験はなく、患者を通して得た知識、あるいは自ら探索して得た知識に基づいて患者の療養行動を支援し、病気の管理や家族生活の維持に取り組んでいる様相が見られた。また、その中では、自己流のやり方に不安を抱いていたり、療養行動に対する考え方が患者とは異なっているために、家族内のコミュニケーションにも困難を感じていたりするケースも見られた。今後、分析を進め、糖尿病患者の家族が看護師からどのような支援を求めているのかを明らかにするとともに、それらを具体的に実践していくための方略について提案したい。
|