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2006 年度 実績報告書

元気高齢者に園芸療法を適用した包括的地域ケアモデルの構築と場の創造

研究課題

研究課題/領域番号 18390598
研究機関金沢大学

研究代表者

安川 緑  金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (10210246)

研究分担者 藤原 勝夫  金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60190089)
伊藤 喜久  旭川医科大学, 医学部, 教授 (20129026)
金子 周一  金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60185923)
小山 善子  金沢大学, 医学系研究科, 教授 (90019943)
染井 正徳  金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20110546)
キーワード元気高齢者 / 園芸療法 / 包括的地域ケア / 脳機能 / 加速度脈波 / 生活活性化 / 補完・代替医療 / QOL
研究概要

今年度の調査では、元気高齢者23名(平均年齢75.70歳:男性12名、女性11名)を実験群とし、週1回3ヶ月間のHTを適用し、適用期間中ならびに適用前・後とその3ヶ月後の各時期に心身機能や社会的機能などの変化を調査した。また、HTを適用しない群の元気高齢者22名(平均年齢75.67歳:男性11名、女性11名)を対照群として同様な内容の調査を行い、下記のような結果を得た。なお、各尺度の変化について有意差の検定をWilcoxon符号付き順位和検定にて行った。
1.HT適用前後における身体機能の変化として、□実験群では、誤反応率が高くかつ脳血流量が増えない被験者の場合、HT後の改善が認められた。また、若年者並みに誤反応率の少ない被験者においてもHTにより血流量が増大した。(2)血液検査ではWBCやLDHの値がHT後に有意に増加した。また、栄養・生活指導群においてはRBC、Hb、Htの各値と、栄養マーカーとなるTP、Albの値が有意に上昇した。□実験群では自律神経系活動において交感・副交感神経活動を反映する尺度ならびに副交感神経活動を反映する尺度が増加するなどの変化が認められたが、対照群では低下した。2.HT適用前後における心理・精神的機能の変化として、実験群ではPOMSの「緊張-不安」「抑うつ-落込」「怒り-敵意」「疲労」の各項目の得点が有意に減少したほか、STAIの状態不安P及びAの得点が有意に減少した。3.生活満足度の変化では、実験群においてはSF36の「全体的健康感」「活力」「こころの健康」の各項目の得点が有意に上昇し、「身体機能」の得点が有意に減少した。また、WHO-QOLを用いた調査では、HTが終わってから3ヶ月後の得点も高く維持されていた。一方、対照群ではSF36の「日常役割機能-身体」「こころの健康」の得点が有意な上昇を認めた。3.HT後の聞き取り調査において、「園芸療法を受けて変化したことは何か」の問いには7名が「以前よりも健康に注意するようになった」と回答。また、「参加者との交流や会話が楽しみだった」「人の輪に入れて良かった」「気持ちが楽になった」「生活にリズムが生まれた」「新しいことに挑戦できて良かった」「花の命、自分の命について考えた」などの感想が聞かれた。以上の結果から、HTは前頭前野の活性化や自律神経系活動を亢進させ、身体機能の活性化に有効に作用することが示されたほか、生活・栄養指導の導入によるさらなる効果も示された。他方、HTの心理面へ作用としては、こころを穏やかにし疲労感の軽減や気持ちを前向きにするなど、気分や感情の改善に有効に作用することが示され、QOLが長期にわたり維持されることも明らかとなった。
以上、今年度の調査を通して、地域在住の元気高齢者の健康に対する意識づけや日常生活の活性化が図られ、新たなコミュニティが形成されたことからも、園芸療法を機軸とした地域高齢者ケアには、老年期を自宅で自立して過ごすために必要とされる、諸条件獲得にかかる効果的な場や機会の提供が含まれるなど、今後の活用が期待される。なお、次年度の調査においては、今年度の結果に基づいて作成された包括的地域ケアモデル案を適用し、さらなる洗練を目指す予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 在宅医療と園芸療法2006

    • 著者名/発表者名
      安川 緑
    • 雑誌名

      日本医師会雑誌 135・8

      ページ: 1766

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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