本研究の目的は、(1)文化社会特性に適したカンボジア版母子健康手帳及びその運用システムの開発、および(2)母子健康手帳を用いた妊婦登録システムを導入し、妊婦健診受診回数およびskilled birth attendant(SBA)による分娩介助率に対する効果を測定することである 分娩前後の期間は、母児の予防可能な死亡が集中する時期であり、全世界の妊産婦死亡の約50%、新生児死亡の37%がこの時期に起こると推定されている。しかし同時にこの時期は、多くの分娩が家庭で行われ、また届出や登録制度が整わない開発途上国においては、最も保健情報が把握しにくい時期である。 本研究は、この情報のギャップを母子健康手帳を用いて埋めるとともに、妊婦を早期に把握することで、妊婦健診受診率やSBAによる分娩率の向上を目指している。 本研究は、次の2段階で実施する。【第1段階】カンボジア版母子健康手帳、およびその運用システムの開発、【第2段階】母子健康手帳を用いた妊婦登録システムを導入し、介入地域と対照地域との間で、妊婦健診、SBA による分娩、母親の保健知識などのアウトカムを比較する。
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