研究課題
本研究は虚弱高齢者の自宅に予防訪問を行い、その効果を身体心理社会的側面から評価を行うことを目的としている。平成21年度は、前年度に引き続き在宅虚弱高齢者のための予防訪問プログラムを実施し、全調査地域である大阪府下A市(人口78560人高齢化率17.8%)、B市(同66092人同16.3%)、C町(同18861人同26.6%)においてその効果を評価した。これらの地域の介護保険サービスを過去3か月間利用していなかった要支援高齢者323人(男性84人:26.0%、女性239人:73.4%、平均年齢79.9才標準偏差6.5)を対象に訪問群を161人、対照群を162人に無作為に割り付けを行った。訪問群の高齢者に対しては、地域包括支援センターの看護保健福祉職等により、原則として6か月に1回、予防訪問プログラムを2年間実施した。なお、対照群の高齢者には各市町村における通常の地域・在宅ケアを提供することとした。介入後1年目に高齢者に対して郵送による自記式質問紙調査を行い、高齢者の身体心理社会的状況を把握した。高齢者の1年間の生活状況、要介護度の変化や介護認定の未更新割合については訪問群と対照群では有意な違いがみられなかった、また、高齢者のADLや生活機能は両群とも低下していたが、群間で変化の違いはみられなかった。しかし、高齢者の抑うつについては、訪問群の方が対照群に比べて、1年後には有意に改善していた(p=.014)。以上より、1年間虚弱高齢者に予防訪問を行うことによって身体機能等の状況は大きく変化していなかったが、抑うつの悪化予防には効果がある可能性が示された。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (18件) 図書 (1件)
看護学雑誌 74(1)
ページ: 44-54
高齢者の「閉じこもり」予防新老年学(東京大学出版会)
ページ: 1521-1524
Wing Clinical and Experimental Research 21(2)
ページ: 167-173
日本公衆衛生雑誌 56(9)
ページ: 662-673
保健師ジャーナル 65(12):
ページ: 1036-1041