研究課題
本研究の最終ゴールは、高齢者が適切な口腔保健行動を行えるように口腔保健行動支援プログラムを作成することであるが、本研究期間の範囲では、質的研究を通じ様々な口腔保健行動を抽出し、抽出項目を用いて量的研究によって口腔保健行動を評価し、高齢者にとって望ましい口腔保健行動のガイドライン案を作成することを目的とする。平成19年度は、平成18年度に行った予備調査をふまえ、口腔保健行動評価のための量的調査を実施し、高齢者にとって望ましい口腔保健行動のエビデンスを構築することを目的とした。【対象と方法】対象者は、60歳以上の地域住民で、面接により属性、日常生活、保健行動、口腔健康に関する考え方などの聞き取りと口腔診査、口腔内細菌検査を行った。【結果と考察】研究への参加者は男性140人、女性284人、計424人で平均年齢は71.2±6.9歳(60歳〜93歳)であった。口腔保健行動をとらせる認知変数的要因としては、【ポジティブな信念や規範】、【口腔の問題-周囲の助言】、【口腔健康へのあきらめ】、【効果の実感】、【口の健康に対する自信】の5因子が抽出された。現在歯数は平均20.0±9.2本、未処置う歯数は平均1.0±2.0本、CPITNは平均2.6±1.1で全国平均と比較し良好な口腔状態であったが、259人(61.2%)は口腔に関する何らかの主訴を持っていた。口腔保健行動として、口腔清掃に関しては、全員が1日1回以上歯磨きを行っていて、歯間ブラシやデンタルフロスを使用しているものは136人(39.9%)であった。食生活に気をつけているものは68人(16.2%)であった。受診行動として、定期的に歯科を受診している者は148人(35.3%)であった。平成20年度はこれらのデータをもとに、各口腔保健行動が口腔健康に及ぼす影響を解析する予定である。
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