研究概要 |
平成20年度の研究目的は,平成19年度に作成した「認知症高齢者の口から食べる力の見極めとケアスキルに関するガイドライン」の妥当性と有用性を検討するとともに,本ガイドラインに準じた視聴覚教材を作成することである。 方法は、1)経管栄養の離脱に成功した認知症高齢者の事例研究を分析資料としてガイドラインに従った再分析(後向き研究)を行うとともに、2)経管栄養を受けている認知症高齢者を対象にガイドラインを実際に使用して経口摂取の移行に向けた事例展開(前向き研究)を行うことで、ガイドラインの妥当性を検討した。さらに、3)ガイドラインの必要性・実施可能性に関して、項目ごと4段階評価を多職種(言語聴覚士、管理栄養士、看護師、介護福祉士)計6人に依頼した。これらの検討結果をもとに、判断基準およびアセスメント項目を見直し、視聴覚教材を作成した。 結果、後向き・前向き研究ともにガイドラインの妥当性が確認されたが、「判断基準」における嚥下機能の判定において看護者間でばらつきを認め、実際に看護師からも評価に自信がないという意見があり、嚥下障害がある認知症高齢者に対する客観的評価指標のさらなる開発が課題となった。ガイドラインの必要性・実施可能性の評価では、「判断基準」の各項目の必要性の平均得点は3.7〜4.0点,実施可能性は3.1〜3.9点,「アセスメント」の各項目の必要性は3.3〜4.0点,実施可能性は3.3〜4.0点といずれも高い結果であり、臨床実践における有用性は評価されたといえる。なお、教材用DVDの編集途中でパソコンが壊れ、データも消失するといった自体に陥り、今年度、急遽、ビデオ編集に対応したパソコンを優先的に購入して(物品費383,775円が追加計上された所以である)、使用可能な映像データだけは再編集したもの、欠損したデータについては次年度、再び撮影し直す必要性が生じた。このため、DVD付きガイドライン教材は、平成21年度早々に完成させる予定である。
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