本研究は、認知症高齢者のケアを行う多職種ケアチームメンバー(専門職等)が、インターネットシステムを利用し、自らのチームアプローチ内容を継続的に評価できることで目的であった。最終年度は、「認知症高齢者の学際的チームアプローチのケアの質評価Webシステム(以下、Webシステムとする)」の評価システムの効果を検討することを目的とした。在宅認知症高齢者(以下、利用者)と、専門職種、介護者(家族)のWebシステム使用前と6ヶ月後の以下の項目変化を明らかにした。利用者は、途中施設入所者1名、死亡者1名の計2名を除く19名(男性4名、女性15名)、平均年齢82.7(SD5.5)、認知症自立度は、I~IIIbの範囲であり、Mo(最頻値)はIIb9名(46.4%)であった。専門職種は、ケアマネジャー13名とサービス担当者(医師3名、看護師2名、介護職等32名)37名であった。利用者1名につき平均3.9(SD0.8)名のチーム編成であった。ケアマネジャーのストレス度(日本版バーンアウト尺度:1-17点)は、3下位尺度の情緒的消耗感2.6(SD0.5)→2.5(SD0.7)、個人的達成感低下2.8(SD0.9)→2.8(SD0.5)、脱人格化(SD0.7)→1.6(SD0.6)では有意差はなかった。各利用者の専門職間内の学際的チームアプロー実践評価尺度(32-128点)は、3下位尺度の組織・構造の柔軟性39.1(SD3.5)→39.8(SD3.2)、ケアプロセスと実践度33.4(SD2.7)→33.5(SD2.8)、メンバーの凝集性と能力23.8(SD2.6)→24.6(SD2.4)であり、ケアプロセスと実践度のみ有意差があった。利用者のBPSDの頻度(DBD尺度:28-112点)は、33.7(SD12.5)→28.3(SD10.1)で有意差があり、日常生活内の心地よさ行動頻度16.1(SD5.8)→19.2(SD5.9)、生活満足2.4(SD0.9)→2.6(SD0.9)であり有意差はなかった。家族介護者の介護負担感(Zarit介護負担尺度)は28.4(SD20.5)→30.9(SD20.6)で有意差はなかった。Webシステム最使用頻度者ケアマネジャーの意見は、他職種の評価状況の確認ができサービス計画に活用できたという意見が多かった。一方で、項目数が多い点や運用システムをより簡便に使用できるようにする修正点が課題として残ったことから、今後Webシステムの改善をすることが必要であると考えられた。
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