1. 地上絵全体の分布図は、平成18年度までに購入できた高精度人工衛星画像(最小分解能約0.6m)をもとに、平成19年度にひきつづいて判読図化作業を継続的に行った結果、平成20年度でナスカ台地のほぼ全域についで、地上絵の分布図の図化を完了した。 これによって、地上絵の相互の配置関係、線や図の重なり合い関係(時代的前後関係)、周辺遺跡との関係などの精査と考察を行う基礎的資料を完成することができた。 2. 平成18年12月に現地調査を行った際にペルー文化庁へ英文報告原稿を提出し、本研究費補助金によって平成18年度末にスペイン語の報告書を印刷した。これに基づいて、平成19年度は保護範囲区域内で実測を行うことをペルー文化庁に申請し、平成19年12月に世界遺産指定地内に立ち入って予察的に調査を行った。平成20年度は8月に、章界遺産指定地内のとくに動植物などの地上絵の集中地区において現地で詳細な観察を行った。 3. 国内学会では「地上絵の図化」にくわえて地上絵の保全に関わる事項として「エルニーニョの際などの強雨による地形変化」を人工衛星ALOS画像を利用して抽出する手法の発表を行った。 4. 平成20年6〜8月に宮城県仙台市において河北新報社が「ナスカ地上絵の謎展」を開催したが、その展示の監修を行い、山形大学の研究成果を展示公開する機会を得るとともに、山形大学出版会より展示図録集を出版した。展示図録集において国内のナスカ期の土器の集成を行い、山形大学の研究成果(文化人類学、自然地理学、認知心理学からの考察)を解説した。展覧会の期間中の入場者数は3万人であった。図化にかわった学生を中心に山形大学学生による展示解説を行った。
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