平成19年度は、アフガニスタン国立公文書館所蔵の「統治文書」の内、国王の勅書・勅令類(ファルマーン)に関するインヴェントリー作成のための基礎データの収集を、同公文書館歴史資料部門スタッフを中心に行ない(現地の治安状況が不安定なため、八尾師の現地入りが儘ならず、結果的に彼ら中心の作業となった)、収集された基礎データのデータベース化作業と内容に関する整理作業は、本邦において八尾師が行った。 同館に所蔵されていることが明らかとなった勅令・勅書の総点数は1516点、一番古いものはフセイン・バイカラ(14〜15世紀)のファルマーンであるが、殆どはドゥッラーニー朝歴代君主のそれであり、しかも、アミール・アブドゥル・ラフマーン期(1880〜1901)のものが一番多く、質的にも高いことが判明した。 これらは、現在まで全く未整理の状態にあったため、研究者の利用に供せられることがなく、当該作業を通じて、その利用が可能となれば、資料的へ閉塞状況に陥っていたアフガニスタン近現代史研究の新たな地平の開拓にとって、きわめて大きな資料的価値を有していると考えられる。
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