研究課題/領域番号 |
18401014
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中山 俊秀 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70334448)
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研究分担者 |
渡辺 己 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (30304570)
中山 久美子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (40401426)
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キーワード | 記述言語学 / 危機言語 / 北米インディアン諸語 / カナダ / アメリカ / コーパス / ヌートカ語 / テキスト資料 |
研究概要 |
研究最終年度である本年度は、これまでに固めた調査・研究の枠組みに沿って研究活動を進め、研究成果のとりまとめに向けて当初に計画されていた資料の研究資源化を行った。 本研究の中核的活動である海外調査については、研究代表者の中山俊秀がヌートカ語アハウザット方言、渡辺己がスライアモン語、中山久美子がヌートカ語フピチャサト方言及びオハイアット方言について行った。中山久美子は当初ニティナト語資料の収集も予定していたが、適切な話者との調査日程の調整が付かず、一方、ヌートカ語オハイアット方言に関する調査の好機に恵まれたため、予定を変更して調査を行った。収集されたテキストデータは、伝統的な物語(昔話、民話、神話)、伝統的な習慣や技術に関する説明、歴史的な出来事の解説など、幅広い範囲をカバーした。 現地調査によって得られたテキストの音声データは質的劣化のない電子フォーマットで保存している。音声から書き起こしたテキストデータは、文法分析を加えた上で、多目的加工がしやすい形でデータベース化し、コーパスを充実させた。併せて、テキストにおける用法をもとに語彙データベースもいっそう充実させた。本研究を進める上で蓄積された研究手法・技術上のノウハウは記述研究に取り組む研究者を対象としたワークショップなどの形で研究者コミュニティーとの共有を図った。 本研究で対象としたのは消滅の危機に瀕した言語であり、また蓄積されたテキストコーパスは失われつつある伝統文化の知識を含んだものである。本研究での成果は、言語研究の貴重な資料であるばかりでなく、人類学・民族学・歴史学的研究などの広い範囲の研究にとっても価値があり、さらに、現地話者コミュニティーでの教材開発など、言語再活性化活動などにも実質的で重要な貢献となる。
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