今年度、真柳は中国および日本に所蔵される中国・日本・韓国・ベトナムの古医籍を調査し、調査データの集計・分析・報文作成を担当した。また今年度の海外共同研究者として、北京中医薬大学の梁〓教授に中国所蔵情報の事前調査と集計を担当いただいた。 以上について各蔵書機関の目録より中・日・韓・越の古医籍を抽出、版本書誌等の嫌疑点は実地調査で解決した。このため真柳は国内3回、中国2回(2007年8月13日〜9月21日、2008年2月17日〜同27日)、台湾(2007年11月14日〜同17日)・ベトナム(2008年3月16日〜同23日)各1回の旅行を行い、北京中国国家図書館・上海図書館・上海中医薬大学図書館・上海復旦大学図書館・広東中山大学図書館・藩陽中国医科大学図書館・藩陽遼寧中医薬大学図書館・長春中医薬大学図書館院・台北故宮博物院・ハノイ漢喃研究院にて古医籍の書誌を調査した。梁氏は日本に1回(2007年5月15日〜同年7月15日)の研究打ち合わせ旅行を実施した。真柳と梁氏は蒐集した書誌データを解析し、中国古医籍が各国伝統医学体系の形成に及ぼした影響を、各々の歴史・地理・社会的背景もふまえ、客観的史実として解明する研究を継続した。 真柳は今年度これまで収集した資料と史料を整理した古医籍の書誌データは日本の月刊学術誌に16回、学部紀要に2回に分けて連載報告し、それらを解析した研究論文を日本と台湾の学術誌に各1篇投稿した。梁氏も日中古医籍の比較論文1篇を日本の学術誌に投稿した。真柳はさらに研究成果の講演を日本と中国で各5回、台湾・ベトナムで各1回行った。今年度も個別に得た成果は多数にのぼり、とりわけ『傷寒論』と『金匱要略』の書誌について画期的新知見を得た。これらについては次年度以降の調査研究と並行して報文の作成、および新出原本の日中同時出版を準備している。
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