今年度、真柳は韓国および日本に所蔵される韓国・日本・中国・ベトナムの古医籍を調査し、データの集計・分析・報文作成を担当した。また今年度の海外共同研究者として、韓国・慶煕大学校韓医科大学の車雄碩助教授に韓国所蔵情報の事前調査と集計を担当いただいた。 以上について各蔵書機関の目録より韓・日・中・越の古医籍を抽出、版本書誌等の嫌疑点は実地調査で解決した。このため真柳は国内3回、中国2回(2008年6月10日〜同14日、2008年11月2日〜同8日)、台湾(2008年7月14日〜同16日)・韓国(2008年8月7日〜同9月26日)各1回の調査旅行を行い、京都大学図書館・杏雨書屋・慶應義塾大学斯道文庫・北京大学図書館・上海図書館・成都中医薬大学図書館・台北故宮博物院・ソウル国立中央図書館にて古医籍の書誌を収集した。車氏は日本に1回(2009年1月2日〜同31日)の研究打ち合わせ旅行を実施した。真柳と車氏は収集した書誌データを解析し、中国古医籍が各国伝統医学体系の形成に及ぼした影響を、各々の歴史・地理・社会背景もふまえ、客観的に解明する研究を継続した。 真柳がこれまで収集した資料と史料を整理した古医籍の書誌データは日本め月刊学術誌に今年度10回、学部紀要に1回に分けて連載報告し、それらを解析した研究論文1篇が台北故宮の学術誌に掲載された。また日本・中国・韓国で開催された学会で新知見を計6回発表した。車氏も日韓古医籍の比較論文1篇を韓国の学術誌に投稿した。真柳はさらに研究成果に関する講演を日本で11回行った。今年度も個別に得た成果は多数にのぼり、とりわけ新発見の『傷寒論』と『金匱要略』の版本は従来の知見を覆す最善本につき、次年度に日本東洋医学会から全文の影印・釈読に解題・索引を付して出版する予定で、すでに使用権を北京大学・上海図書館・台北故宮より取得し、中国で同様の出版も計画している。
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