内陸アジア地域を構成するテュルク系諸民族自身が残した現地語の諸文献は、当地域の歴史・社会・文化を研究するためのもっとも基本的な材料であるにも拘わらず、いまだ十分に活用されているとは言い難い状況にある。とりわけ14世紀以降から20世紀初頭までの長きにわたり当地域の文章語であったチャガタイ語の写本、ならびに現代語への移行期に著された様々な正書法を用いたテュルク系言語文献は、世界各地の図書館・研究機関そして民間に散在しており、それらに関する研究体制は依然遅れた段階にある。本研究課題はこのような現状に鑑みて、内陸アジア、とくに中国領新疆で近現代(18-20世紀)に作成されたテュルク諸語文献を対象として、その包括的な史料研究を推進し、当該分野の発展に寄与する文献リソースの構築を、オンライン・データベースの構築と公開、ならびに解題文献目録の出版により実現するものである。
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