1) 前近代史で近年注目されている「ペルシア語文化圏」という概念を踏まえ、その近世から近現代(16~20世紀)における変容を明らかにする。近世はペルシア語文化圏の盛期であり、文化的価値観を共有するイラン、インド、中央アジア、アナトリアで盛んな文化交流と人の移動が見られた。このペルシア語文化圏において、近代以降の、言語や民族が形成され、国民国家が建設されるのであるが、こうした共通の文化はどのように変容し、再定義されたのかを示す。 2) 具体的には、以下の3点を海外調査によって、達成する。(1)ペルシア語文化圏関係の資料の収集、(2)現地研究者との交流と意見交換、(3)ペルシア語とその周辺言語の実態調査. (1)は世界最先端の研究を遂行するためには、日本に所蔵されている資料のみでは不十分であり、現地等で資料を発掘する必要がある。(2)はペルシア語文化圏に関する現在の現地の見方を明らかにするために、必要である。しばしばナショナリズムが強く反映される場合があるが、そのナショナリズムも研究の対象である。(3)は諸言語へのペルシア語の影響、ペルシア語内の方言差を知るために必要である。
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