研究概要 |
今年度は、当初の計画に沿って、British Libraryに赴き、コータンおよび中央アジアの他のオアシスより出土した文書および木簡の調査を行った。調査は、研究代表者の荒川とそれをサポートする研究協力者として坂尻彰宏を加えるかたちで行われた。荒川は漢文文書と木簡を、また坂尻は漢文およびチベット文の文書と木簡を調査の対象とした。なお今回は研究分担者の吉田と武内は、調査のために文書所蔵機関に直接赴くことはしなかったが、個々の資料について情報・意見交換する必要がある場合には、その都度メールなどで連絡を取り合った。今回の調査では、British Libraryで調査のサポートをお願いした研究者の協力により、これまで存在も知られていなかった未知の木簡に遭遇する機会を得た。たとえば、Or.8211-1734〜1739;Or.8211-1981やIOL Khot W43,W59/1-2,63などの木簡の存在である。これらの資料の検討を通じて、8世紀のコータン地区における唐とオアシス国家との二重支配体制に関する解明が進むことは疑いない。 また今回調査した個々の文書および木簡の内容に関する検討は、代表者と分担者は比較的近在の大学に勤めているので、代表者の大学で定期的に研究会を開き、そこで個々の文書の分析を共同で進めた。なお調査の結果得た文書に関わる諸情報とコータン出土資料に関する全データを整理するために、専門のアルバイトを雇用して、能率的にその作業を進めた。
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