研究課題/領域番号 |
18401025
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
唐澤 靖彦 立命館大学, 文学部, 准教授 (10298721)
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研究分担者 |
滝野 正二郎 山口大学, 人文学部, 准教授 (20197239)
黨 武彦 熊本大学, 教育学部, 准教授 (80251388)
中島 楽章 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (10332850)
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キーワード | 清代法政史 / 清代地方行政 / 清代社会史 / 国際情報交換 / アメリカ |
研究概要 |
二年目である平成19年度は、夏季及び春季における四川省での資料調査・収集が主となった。 1.平成19年8月半ばにおける調査 『南部県档案』資料修復の完了後、資料のデジタル化が国家プロジェクトとして開始され、それが未了ということで『南部県档案』の閲覧はかなわなかった。このため、夏の資料収集は、四川省档案館(成都市)における『巴県档案』が主となった。唐澤靖彦は、訴状作成を担っていた代書の日常生活が推測できる貴重な資料を得た。 2.平成20年3月下旬における調査 滝野正二郎が、南充市桜案館にて『南部県档案』の調査を行った。その過程で以下の実績を得た。 (1)電子目録中に記された档案の「題名」は档案の内容をかなり忠実に表しているので、今後の調査に稗益するところが大きい。 (2)嘉陵江水運に関する研究に関連する档案は殆どなかった。しかしこの事実は、南部県が井塩の生産を除いて全くの農業県である事を示しており、大都市重慶とは全く対照的な社会経済の研究が可能であることを示す。 (3)清代後期におけるこの地域の流通経済、交通、市場等に関連して、定期市設置および私設禁止問題、塩井における開発・所有・経営・登録・納税問題、叛乱鎮圧に関連する軍需輸送問題、地方末端官庁における駅伝維持の問題、道路の維持・管理問題、厘金・油課(菜種油を対象とした税)等の地方税問題、などの問題に関する史料が存在することが確認された。塩井の諸問題は、西南中国特有の問題である。とりわけ定期市設置および私設禁止問題について、地方档案を用いて県役所の関与を研究する資料を得た。 清代後期の長江中流域の農村社会では、開発が進むことで社会の暴力化・軍事化が進展し、それが叛乱・匪賊の頻発を招くという形の、時代の先端をいく問題が発生している。『南部県档案』によって、その動きに地方役所がどう関わったのかという、これまでの資料では難しかった新たな光な当てる研究が可能となる。
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