研究課題/領域番号 |
18401025
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
唐澤 靖彦 立命館大学, 文学部, 准教授 (10298721)
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研究分担者 |
滝野 正二郎 山口大学, 人文学部, 准教授 (20197239)
黨 武彦 熊本大学, 教育学部, 准教授 (80251388)
中島 楽章 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (10332850)
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キーワード | 清代法制史 / 清代地方行政 / 清代社会史 / 国際情報交換 / アメリカ |
研究概要 |
8月に唐澤靖彦、海外研究協力者のマシュー・ソマー(Matthew Sommer、スタンフォード大学)、ブラッドリー・リード(Bradly Reed、ヴァージニア大学)、及びクリストファー・アイゼット(Christopher Isett、ミネソタ大学)が、中国四川省南充市の南充市档案館において、清代『南部県档案』の調査と収集を行った。そして9月には、研究分担者の中島楽章と滝野正二郎が、同様の調査と収集を行った。 『南部県档案』をDVD媒体の形でデジタル化する国家プロジェクトが完了しており、今年度の調査ではじめて、本資料をデジタル媒体によって収集することができた。唐澤は訴状を作成していた官代書についての資料を、ソマーは夫が妻を売るという下層民に多く見られた慣行に関する資料を、リードは地方レヴェルの司法システムが上下各級のあいだでどのように機能していたかを示す資料を、アイゼットは農業県である南部県の農民経済の実態に関する資料を、滝野は定期市の設置に行政がどのように関わっていたかを示す資料を、そして中島は様々な行政文書を収集した。これらの成果は、それぞれによる学会や研究会での発表、論文(近刊も含む)の形などで世に出され始めている。 『南部県梢案』の整理費用として、初年度に本助成金から南充市梢案館に支出した費用の成果が、『南部県档案』文書の一枚ごとの詳細な目録として完成した。本年度に利用可能となっており、エクセルファイル化されているため、利用が飛躍的に便利になった。通常の清代档案資料の目録は、表題を付された案件ごとの目録にとどまる。このように、一案件に含まれている文書の一枚ずつの詳細な目録というのは、中国の諸档案館において所蔵されている清代の档案資料では他に例がない。『南部県档案』を活用する清代史研究に対し、本課題による極めて重要な貢献が具体化された。
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