研究課題
本研究は、アフガニスタン中央部のハザラ人居住区(ハザラジャート)における仏教伝播の経路及びその様相について解明していくことを目的としている。研究部門は、1)遺跡調査とルート調査を主になす現地調査(担当は研究代表の入澤崇、連携研究者の井上陽、山田明爾)と、2)これまでに収集した仏教文物の解析をなす国内での文物研究(担当は研究分担者の宮治昭と吉田豊)、に分かれる。まず、現地調査であるが、アフガニスタンの情勢が悪化したために、アフガニスタンでの調査を行うことができなくなった(調査に充てる予算は返上)。ただし、トルクメニスタンとアフガニスタンとの国境付近にハザラジャートの仏教遺跡と類似性をもつ複数の遺跡の存在をつきとめることができ、仏教西漸研究を推進させる手がかりを得た。その遺跡はムルガーブ川流域及びその周辺に存在しており、ハザラジャートのバンデ・アミール川流域の仏教がムルガーブ川流域に伝播した可能性を示唆する。現地調査の手法は要検討事項である。文物研究では、チル・ボルジ城砦跡で発見された仏教壁画を担当する宮治は、アフガニスタン仏教図像の基盤となる初期ガンダーラ美術を考察し、ガンダーラ美術にみられる異文化交流の研究を促進させた。本研究の出発点ともなったタンゲ・サフェーダック出土のバクトリア語碑文担当の吉田は、中央アジア仏教という広い視点に立ち、イラン系民族の果たした役割を考察した。仏教伝播の研究を深めるためには現地調査が主軸とならざるを得ず、目下のところ、調査地点の変更も視野に入れて、研究推進の方策を検討中である。
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