平成18年度は、安武・ハヤシ双方ともに、当初の計画とは異なる場所でのリサーチに時間を費やし、研究を進めることとなった。 安武は、ハワイに赴く代わりに、カリフォルニア大学ロサンジェルス校、同大学リバーサイド校、東京の日本女子大学に赴き、婦人国際平和自由連盟(WILPF)やPPWA、またその他大小の女性組織のマイクロフィルム史料を手に入れた。それらは、汎アジア的な女性のネットワークが予想以上にはるかに複雑であったという新事実を示すものだった。さらに彼女はそれらの発見を、カリフォルニア大学ロサンジェルス校でのシンポジウムやアメリカのアメリカ歴史学会(AHA)の例会で発表した。 一方、ハヤシはワシントンDCでの調査に夏季を費やし、OSS(戦略事務局)のレポートを深く調べた。そのファイリング・システムが複雑であったこともあり、予定の範囲の史料をすべて調べ上げるには至らず、また、予定していた東海岸のその他のアーカイヴを調査する時間も削がれてしまった。しかしながら、授業のない時および連休などを利用して、以下の場所で中国系アメリカ人に関する史料を探し出すことができた。それは、台湾の新店市にある国立公文書館やカリフォルニア大学バークレー校のエスニック・スタディーズ図書館とバンクロフト図書館、ミズーリ州セントルイスの陸軍人事史料センターやシカゴ大学のジョゼフ・レーゲンシュタイン図書館などの史料である。
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