• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

オセアニア環礁景観の考古学的・歴史人類学的綜合研究とその現在的活用策の検討

研究課題

研究課題/領域番号 18401028
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

山口 徹  慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (90306887)

キーワード景観史 / ジオアーケオロジー / 歴史人類学 / オセアニア / 環礁 / 水資源 / マーシャル諸島 / ツバル
研究概要

赤道付近の貿易風帯には環礁の島々が点在する。炭酸カルシウムの骨格をもつ造礁サンゴが海底から低潮位線ぎりぎりまで積み重なった生物起源の地形である。その礁原の上に、サンゴの破砕片や有孔虫殻が波浪の物理的作用によって打ち上げられ、その堆積物が低平な州島を形成した。人間の生存にとってはきわめて厳しい環境だが、環礁島民はそこで暮らすためのさまざまな工夫を土地に刻んできた。州島の現景観は、自然の営力と人間の営為が絡み合うことによって生みだした歴史的産物である。その歴史を通史として描くために、マーシャル諸島マジュロ環礁とツバルのフナフチ環礁をフィールドとして選択し、連携研究者である棚橋訓(お茶の水女子大)、吉田俊爾(日本歯科大)、茅根創(東京大)とともに現地調査を実施した。
マジュロ環礁では、環礁州島の地下にしみ込んだ海水の上に帯水する淡水レンズと人間居住の関係を探究するために、面積の異なる州島を複数選択し、植生調査と発掘調査をおこなった。その結果、大型で細粒堆積物からなる州島、小型で細粒堆積物からなる州島、小型で粗粒堆積物からなる州島で、人間の居住にとって重要な根茎類キルトスペルマやパンノキの分布に差異があり、居住年代も前者ほど古くさかのぼることを確認できた。フナフチ環礁では、ロンドン王立協会(Royal Society of London)によって19世紀終盤に記録されたフォンガファレ州島の微細な起伏を、第2次世界大戦以降改変された現景観のなかに確認するとともに、州島を構成する堆積物と文化層の有無を把握するために5カ所で試掘を実施した。その結果、陸上地形の形成史と人間居住史の拡大について所見を得ることができた。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Distribution and sediment production of large benthic foraminifers on reef flats of the Ma juro Atoll, Marshall Islands.2009

    • 著者名/発表者名
      Fuiita, K., Osawa, Y., Kayanne, H., et al.
    • 雑誌名

      Coral Reefs 28

      ページ: 29-49

    • 査読あり
  • [雑誌論文] クロチョウガイをめぐる環礁の文化史-北部クック諸島プカプカ環礁の考古学調査-2008

    • 著者名/発表者名
      山口 徹
    • 雑誌名

      近森正(編)『サンゴ礁の景観史-クック諸島調査の論集』(慶應義塾大学出版会) 無

      ページ: 149-173

  • [雑誌論文] マラエに読む先史時代の文化景観-トンガレヴァ環礁の祭祀遺跡-2008

    • 著者名/発表者名
      山口 徹
    • 雑誌名

      近森正(編)『サンゴ礁の景観史-クック諸島調査の論集』(慶應義塾大学出版会) 無

      ページ: 229-243

  • [雑誌論文] 山のマラエ・海のマラエ-東ポリネシア・ラロトンガ島の祭祀遺跡-2008

    • 著者名/発表者名
      山口 徹
    • 雑誌名

      近森正(編)『サンゴ礁の景観史-クック諸島調査の論集』(慶應義塾大学出版会) 無

      ページ: 419-439

  • [雑誌論文] 地図のカーレナード・メイソンの『ローラ・レポート』を読む2008

    • 著者名/発表者名
      棚橋 訓
    • 雑誌名

      塩田光喜(編)『オセアニアの知と権力』(アジア経済研究所) 無

      ページ: 169-186

  • [雑誌論文] ツバル国フナフチ環礁における沿岸域土地被覆変化の解析2008

    • 著者名/発表者名
      桑原祐史, 横木裕宗, 佐藤大作, 山野博哉, 茅根 創
    • 雑誌名

      沿岸域学会誌 21

      ページ: 21-32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] マーシャル諸島マジュロ環礁の出土人骨について2008

    • 著者名/発表者名
      吉田 俊爾
    • 雑誌名

      解剖学雑誌 83

      ページ: 58

  • [雑誌論文] The human skeletal remains from Majuro Atool, Marshall Islands2008

    • 著者名/発表者名
      Yoshida s., Sato I.
    • 雑誌名

      Anthropological science 116

      ページ: 116

  • [学会発表] 「第三世界」と「第四世界」の捉え方をめぐって-その系譜と模索2008

    • 著者名/発表者名
      棚橋 訓
    • 学会等名
      国立民族学博物館共同研究会「生の複雑性をめぐる人類学的研究-『第四世界』の新たな記述にむけて」
    • 発表場所
      成城大学
    • 年月日
      2008-12-23
  • [学会発表] 地図の力、ふたたび-マジュロ調査から考える2008

    • 著者名/発表者名
      棚橋 訓
    • 学会等名
      アジア経済研究所研究会「太平洋島嶼諸国の知識社会化と政治社会変動」
    • 発表場所
      日本貿易振興機構アジア経済研究所
    • 年月日
      2008-12-13
  • [学会発表] ツバル・フナフチ環礁のジオアーケオロジー : 西ポリネシアと東ミクロネシアの文化的境界論への試論2008

    • 著者名/発表者名
      山口 徹
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会第11回大会
    • 発表場所
      静岡グランシップ
    • 年月日
      2008-11-22
  • [学会発表] マーシャル諸島マジュロ環礁出上人骨2008

    • 著者名/発表者名
      吉田 俊爾, 佐藤 巌
    • 学会等名
      第62回 日本人類学会大会
    • 発表場所
      愛知学院大学歯学部
    • 年月日
      2008-11-02
  • [学会発表] 題 : コメント : 反権力か脱権力化か-再帰的近代化段階における再ジェンダー化2008

    • 著者名/発表者名
      棚橋 訓
    • 学会等名
      日本文化人類学会第42回研究大会分科会「権力のジェンダー化」
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2008-06-01

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi