研究概要 |
1 南ライキピア森林保護区北部区域・近傍農村での薪炭材採取行動と製炭実態について分析を続け, 同保護区を利用した生計戦略の実態と木炭生産・流通の地域システムを明らかにし, また森林保護区内での萌芽更新樹種の無作為抽出標本の統計解析(多重比較検定)を行い, それらが保護区内に広範に生育し, かつ広く利用されている実態を明らかにした。成果の一部をヒューマン・エコロジーの国際学会で報告し, タンザニアで別途行っている研究から得た知見とともに「東アフリカ農村における森林資源管理と生計安全保障-タンザニアとケニアの参加型制度の事例分析」(アジア経済研究所・研究双書原稿として査読中)にまとめた。 2 アパーデア森林保護区・南ライキピア森林保護区南部区域周辺の2集落で調査を継続した。とくに農民の資産・活動代替能力の一つの現れである作物品種選択を左右する社会経済的, 農業生態的要因に注目しつつ, 品種選択歴と品種特性知覚のデータをシークエンス・アラインメント手法により分析し, 品種選択と生計戦略との関連, さらに品種選択において農産物マーケティングの地域システムが果たす役割(品種・市場情報の提供など)について検討した。そして, 同地域に展開する地域システムの機能を, 平常時, および干ばつなどの非常時における集落間の相互依存関係と合わせて検討し, 成果の一部を「ケニア中央部における経済的変化・農業気候的イベントと小農民の生計安全保障評価」(英文, 総合地球環境学研究所・ワーキングペーパー原稿として査読中)にまとめた。 3 上記の3森林保護区の周辺に位置する定点観測点において各降雨イベントの降雨強度とこれに対応する土壌水分変化過程のモニタリング・データを回収するとともに, 顕著な地形変化が想定される箇所において地形・表層地質調査, 地形測量を続け, 合わせて地形変化の時間スケールを解明するために放射性炭素年代測定を実施した。
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