研究課題/領域番号 |
18401039
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
山田 陽一 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (80166743)
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研究分担者 |
諏訪 淳一郎 弘前大学, 国際交流センター, 准教授 (40336904)
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キーワード | 民族音楽学 / 文化人類学 / ポピュラー音楽 / ワールドミュージック / ストリングバンド / ヴァヌアツ共和国 / ソロモン諸島 |
研究概要 |
研究代表者・山田陽一は、ヴァヌアツ共和国エマウ島(首都ポートヴィラのあるエファテ島の北に位置する)において、ストリングバンド音楽の成立過程に関する聞き取り調査を行い、その結果、エマウ島では1930年代末期にすでにストリングバンドが結成されていたことが明らかとなった。この時期は、他の地域と比ぺて少なくとも10年以上は早く、エマウ島がヴァヌアツにおけるストリングバンド音楽発祥の地である可能性が極めて高いものとなった。またポートヴィラにおいて、ヴァヌアツを代表するストリングバンドであるソウイアのリーダー、ジョエル・カルタン氏との集中的インタビューを行い、1970年代初め以降、エマウ島の音楽スタイルがエファテ島やサント島など、ヴァヌアツの多くの島々に拡散していった過程を跡づけるとともに、50数曲に及ぶ代表的楽曲の歌詞分析を通して、エマウ島の音楽が、ヴァヌアツの政治・経済・歴史から観光・医療・時事問題に至るまで、多岐にわたる社会的文化的メッセージを発信してきたことを解明した。 研究分担者・諏訪淳一郎は、ソロモン諸島国イサベル州プアラにおいて、ソロモンの著名なミュージシャン、ローリー・ボゲセ氏と、音楽活動の歴史、その経済的側面、作詞作曲の手法、歌詞に用いる言語の選択等について集中的インタビューを行った。その結果、長期にわたる音楽活動にはモラル上の抑圧と経済的困難がつきまとうこと、また母語による作詞とピジン語による作詞を使い分けることによって、音楽活動および音楽そのものが二極分化していることなどが浮き彫りにされた。またプアラの近隣村落において音楽の創作と受容に関する調査を行い、村落で創作された曲が全国的にヒットした事例があることや、ソロモンの他地域で作られた曲が村落で広範囲に受容されていることなどから、音楽の創作と受容両面における村落生活の重要性が明らかとなった。
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