本研究は、欧米の人類学映画や写真をデジタル化して収集し、アイヌ民族・アイヌ文化のイメージがどのようにつくられてきたのかについて考察することを目的とする。収集の主な対象は、映画や写真たけでなく、それらについての豊かなバックデータを有するニール・ゴードン・マンローのコレクションである。マンローはスコットランド出身の医師で、明治の中頃に来日し、考古学とアイヌ文化の研究に取り組んだ人物である。 研究第3年目の本年は、「研究実施計画」に従って、過去2年間で収集したデータの整理と評価を行った。写真や映画の分析から、アイヌ民族「らしさ」がどのように演出されたのか具体的に明らかになった。また、画像から得られる情報が、器物資料のコレクションの研究や、アイヌ文化の研究・伝承に有用であることも明らかになったため、データベースを含めた研究成果の公開方法について検討するための打ち合わせを、連携研究者および関連資料所蔵機関の担当者、マンローの遺族とともに行った。
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