横井(財政・経済・社会保障政策面の調査分析担当)は2006年11月にドイツを訪れ、2005年9月に行われたドイツ連邦議会選挙とその後の連立交渉の経緯についての調査を行い、発足直後の大連立政権の政権運営・安定度についての分析を行うと共に、前政権によって立案された「アジェンダ2010」関連法の実施状況及びその評価について調査を行った。この調査では、ベルリンにおいて在ドイツ日本国大使館政務班、コンラート・アデナウアー財団を訪問し、上記の諸問題に関する諸文書の収集と関係者に対するインタビューを行った。また、ドレスデンにおいて11月26日〜28日に開催された与党ドイツ民主同盟(CDU)定期党大会の傍聴と代議員に対するインタビューを行った。この調査後、2006年の研究・調査の成果を反映させた論文「景気・雇用対策サミットから大連立へ(I)」を公表した。 近藤(移民・外国人政策面の調査分析担当)は、2007年1月に調査のためドイツを訪れ、エッセン大学トルコ研究センターでハルム研究員とトルコ系移民の生活状態、社会統合の問題点、イスラム意識、ドイツ社会の排外機運などについて討議した。その際、トルコ移民、イスラムが一体でないことが強調された。つぎにオスナブリュック大学移民・異文化研究所で、同大学教授のボンメス所長、ハイナート研究員と移民政策の問題点、とりわけ移民法の成果と修正点、その評価などを議論し、合わせて日本での移民問題の実情を説明した。国民にとって負担感のある移民政策を進めるには長い準備過程が必要とされることが強調された。二つの研究所では研究資料も収集した。また、ドイツを訪問する前の2006年夏にドイツで統合サミットなどが開催されたが、その政治過程を分析した論文、今回の面談でも焦点の一つになった人口減少の中での国外移住に関する論文などを執筆した。
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