横井(財政・経済・社会保障政策面の調査分析担当)は2007年11月末から12月はじめにドイツを訪れ、政権発足から2年を経過したメルケル大連立政権において、医療保険改革、年金改革、企業税改革、労働法制改革等、連立協定締結時の中心的改革が実際にどのように進められてきたかについて現地調査を行った。この調査では、ベルリンにおいて在ドイツ日本大使館政務班、コンラート・アデナウアー財団、連邦議会等を訪問し、上記の諸政策に関する諸文献の収集と、関係者に対するインタビューを行った。また、基本綱領の改定という重要な議題を中心にハノーファーで行われた与党キリスト教民主同盟(CDU)定期党大会(12月2日〜4日)を傍聴し、綱領改定をめぐる議論の分析と党大会資料の収集を行い、併せて党大会代議員等にインタビューを行った。この調査後、2006年及び2007年の研究・調査の成果を反映させた論文「景気・雇用対策サミットから大連立へ(II)」を公表した。 近藤(移民・外国人政策面の調査分析担当)は、これまでに続き、ドイツの移民問題と移民政策をドイツの諸官庁の資料・研究機関の報告書の他、新聞・雑誌の報道等に基づいて研究した。特に重点を置いたのは、移民政策の流れの変化と国外移住の動向の二つである。前者については著書『移民国としてのドイツ』の序章で公式の移民国への転換として整理し、後者については論文「現代ドイツの国外移住に関する主要なデータ」として研究成果を発表した。また、現在はドイツで論議の焦点となっており、拙著の副題にした平行社会に関する理論的・実証的研究を進めているところである。なお、その他にドイツでは東西分断当時の移住の一種である東ドイツからの逃亡にも光を当て、論文「ベルリンの壁・ドイツ内部国境の越境者問題」としてその成果を発表した。
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