横井(財政・経済・社会保障政策面の調査分析担当)は2008年11月末から12月はじめにドイツを訪れ、次期連邦議会選挙まで1年を切ったメルケル大連立政権において、児童保育施設の大幅拡充及び親手当の導入、最低賃金の導入をはじめとした労働法制改革等、特に立法期後半期の社会保障・労働政策面での改革計画とその実施状況について現地調査を行った。この調査では、ベルリンにおいて、ドイツの内政状況について日本国大使館政務班との情報交換を行った他、フリードリッヒ・エーベルト財団、連邦労働社会省等を訪問し、上記の諸政策に関する諸文献の収集と、関係者に対するインタビューを行った。また、連邦議会選挙前最後の定期党大会としてシュツットガルトで行われた与党キリスト教民主同盟(CDU)の定期党大会を傍聴し、党大会資料の収集を行うとともに党大会代議員等にインタビューを行い、選挙に向けての同党の動きを調査した。これらの調査後、その成果を反映させた論文を2009年1月に公表した。 近藤(移民・外国人政策面の調査分析担当)は、ドイツの移民政策を具体的に研究するため、現地での調査を実施した。調査は二つに大別される。一つは連立政権を構成している社会民主党(SPD)の党大会を傍聴し、政治動向全体を把握する中で移民政策の行方を考察することである。これについての成果は2009年3月に論文として発表した。もう一つはドイツ社会におけるイスラム移民の問題の焦点であるモスク建設をめぐる紛争を調査した。この調査はベルリン、デュースブルク、ケルンの三か所で行った。その結果、それぞれで紛争の構造と経過が異なることがわかった。特に全国的に関心を集めているところから、ケルンについて詳しく検討し、ケルンの政党や市当局の対応などについても調べたうえで、成果を2009年3月に論文として発表した。
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