研究課題/領域番号 |
18402018
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
穴沢 眞 小樽商科大学, 商学部, 教授 (40192984)
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研究分担者 |
吉野 文雄 拓殖大学, 海外事情研究所, 教授 (90220706)
清水 一史 九州大学, 経済学研究院, 教授 (80271625)
玉井 健一 小樽商科大学, 商学研究科, 助教授 (80271740)
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キーワード | 経済政策 / マレーシア / FTA / AFTA / 自動車産業 / 競争力 |
研究概要 |
マレーシアの自動車産業は同国の国民車計画のもと、長期間にわたり保護されてきたが、2005年から2006年にかけて同国の自動車政策に大きな変化が見られた。政策面では2006年に出された国家自動車政策(NAP)が示すように、貿易自由化への対応に向けた施策の枠組みが決められた。昨年度は特に自由化に大きな影響を与えたといえる日マFTA(EPA)(2005年に合意し、2006年に発効)と自動車産業との関連について、現地でのヒアリングによりこれを明らかにすることに努めた。ヒアリング先はマレーシア通商産業省、マラヤ大学、研究機関、国民車メーカー、部品メーカー、自動車関連団体など多岐にわたった。以下はその要約である。 AFTAによるASEAN域内の貿易自由化に抗するように、マレーシアは自動車の関税撤廃を遅らせ、さらに物品税により関税の引き下げを相殺させる等の政策を続けてきた。しかし、国民車計画を推進してきたマハティール前首相の引退により、保護政策に変化があらわれた。日マFTA締結に向けた交渉の中で、当初、自動車は例外品目になるとの憶測も流れたが、最終的に日本側の技術協力などを織り込むことにより、自動車(完成車)の段階的関税撤廃が決定された。これにより、保護から自由化への流れは決定的となり、これを受けて、マレーシアは国家自動車政策を策定し、自由化に向けた指針を提示した。その考えは2006年に公表された第3次工業マスタープランにも受け継がれている。国家自動車政策ではマレーシアをASEAN域内での乗用車生産のハブにすべく、規模の経済の追求、輸出促進、外資導入、部品メーカーの集約などの目標が掲げられており、これらの達成のために、引き続き政府は支援を行うとしている。
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