研究概要 |
ロシア極東地域の中国人移民問題とロシアの外国人労働者管理問題について,本年度は,まず研究代表者堀江と研究分担者大津により,ウラジオストクにおける調査を行うとともに,現地での学術コンファレンスにおいて本研究課題に関する研究発表を行った。ロシアの外国人労働者問題,とくに外国人労働者のロシア国内における許認可は,強く非CIS諸国からの外国人労働者の規制,特に中国人労働者の規制を意識し,ソフトな安全保障を核とした制度作りが行われてきた。この研究成果については,研究代表者により,『環日本海研究』(第12号)において公表されている。研究分担者堀内は,ウラジオストク・ハバロフスクに赴き,2000年以降のプーチン政権における中央・地方関係の改革の試みと、極東復興への関与を強化する姿勢を調査し,長く停滞が続いた極東地域の本格的な開発の可能性を考察している。その成果の一部は,『ロシア・ユーラシア経済-研究と資料-』(2007年5月号)において公表される。研究分担者馬紅梅は,中ロ貿易全体の動向分析を行い,エネルギーや武器輸出,中ロ政府協議や投資・合弁,中ロ貿易統計の数値の食い違いや「灰色通関問題」など幅広いサーベイを行った。この研究成果は,『松山大学論集』(第18巻6号)において公表されることになっている。 以上の研究代表者・研究分担者の活動により,とくにロシア極東と中国との関係において常に問題となってきた外国人労働・中露貿易・ロシア極東地域開発についてバランスよく研究成果を生み出している。ロシアの外国人労働者問題は,中露貿易やロシア地方政治との関わり合いも強く,こうした研究蓄積をもとに,より北東アジア的な視点のもとに次年度以降の研究を実施していく予定である。
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