研究分担者 |
木下 秀雄 大阪市立大学, 法学研究科, 教授 (50161534)
武田 公子 金沢大学, 経済学部, 教授 (80212025)
嵯峨 嘉子 大阪府立大学, 人間社会学部, 専任講師 (30340938)
嶋田 佳弘 札幌学院大学, 法学部, 講師 (40405634)
上田 真理 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (20282254)
|
研究概要 |
1 2007年9月3日から9月15日にかけてドイツ調査を行なった。調査先は,ヘッセン州社会省,ブレーメン州労働社会省,フランクフルト市福祉局,ライン、マイン、ジョブセンター,ジョブセンター、フリードリスハインクロイツベルク,ドイツ都市会議,ドイツ郡会議,ドイツ公私扶助連盟,NPOなどである。また,社会保障法専門弁護士,社会保障法や公的扶助を専門とする研究者と意見交換を行った。施行3年目を迎えたドイツ社会法典II(「求職者基礎保障」)は,当初予測を超えた700万人程の受給者の最低生活を保障している。今回の調査で明らかになったのは,(1)受給者のうち,失業状態ではない人,いわゆるワーキング、プアが150万人に及んでいること,(2)社会法典IIは失業を重視した制度設計のため,ワーキング、プアを就労支援の対象にできないというジレンマを抱えていること,である。ワーキング、プアの存在が顕在化したもとで,このジレンマをどう克服するかが新たな問題になっているのである。また,(3)社会法典IIが従来潜在化していた貧困を顕在化させたことで,「最低賃金制度」,「住宅手当」,「子供基礎保障」など社会法典Hに全治すべき制度の改革や創設の必要性を高め,それに関する議論を引き起こし,新たな政策が具体化されていることも明らかにした。 2連邦憲法裁判所の違憲判決を訳出した。社会法典IIの実施にあたっては,連邦の労働行政と自治体の福祉行政が協同機関(ARGE)を作ってきた。しかし,それは混合行政であり,憲法違反であるという訴訟がおこされてきた。連邦憲法裁判所第2小法廷は2007年12月20日に違憲との判決を下した。判決文を訳出し,判決のポイントと今後の制度改革の課題を明らかにした。
|