計画に従い、3名が米国に出張し、国立公文書館所蔵商社関係文書のコンテナー目録の作成に当たり、また豪州には1名が出張して大倉商事資料の調査に当たった。プロジェクト途中ではあるが、経営史学会全国大会において、「在米日系企業接収文書の研究」と言うタイトルでパネル報告の機会を与えられ、4名の参加者が企業ごとの文書の概要と新しい研究の可能性に関する報告を行った。我々の有している情報を公開するとともに、各機関が所有している情報の提供を呼びかけたところ、文書館学グループからは豪州のデータをいただき、九州大学記録資料室からは収集文書の調査を許され、データを豊富にすることができた。 当初計画していなかったが、かつて代表者がハードコピーで収集した文書をデジタル化し、何らかの手段で公開できる態勢も整えた。19年度、数本のマイクロフィルムをデジタル化したが、それとあわせ、次の機会に公開できる文書量を増加させつつある。 成果の刊行は求められていないが、このプロジェクトで集積したデータを冊子としてまとめ、広く配布することを計画し実行した。冊子タイトルは科研と同じ、150頁に達し、関係機関・研究者に広く配布した。各企業文書のエントリーについてはできる限り明らかにし、コンテナーの内容もできる限り記した。このリストにより、少なくとも主要な商社に関しては、全ての研究者が資料の大まかな情報を得ることができるようになった。 コンテナー目録としてはなお不十分ではあるが、その精細化については次回の科研に譲ることとし、商社研究を進めるため、合宿研究会を行い、方向性を確認した。
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