研究課題/領域番号 |
18402032
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中村 則弘 愛媛大学, 法文学部, 教授 (10192676)
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研究分担者 |
首藤 明和 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (60346294)
唐 燕霞 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (80326404)
東 美晴 流通経済大学, 社会学部, 准教授 (50347978)
陳 捷 愛媛大学, 国際交流センター, 准教授 (00380212)
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キーワード | 底辺階級 / 中国 / 少数民族 / 社会変動 / 和諧社会 / 宗教 / NGO |
研究概要 |
中国の底辺階級について、農村では青海・チベットの牧畜民と農民、福州の農民に対する本調査を実施した。都市では、福州と北京における市内居住貧困層である都市細民・レイオフ労働者についての本調査を実施した。 これらとあわせつつ、予備調査結果の検討作業を、研究代表者、研究分担者、研究協力者の間で行うとともに、関連する資料収集・資料調査を実施した。これら一連の中間的な成果は、日中社会学会の大会で報告されるとともに、明石書店から刊行された書物のなかで部分的にとりまとめられた。 平成19年度の研究から得られた知見をまとめると次ぎの通りとなる。 (1)回族、西蔵族など少数民族と漢族との間では、底辺階級をとりまく状況にかなりの相違があることが明らかとなった。 (2)漢族においては、格差が拡大し、社会的弱者が切り捨てられる現実を呪うならから、NGOやNPOと関連した社会変更への動きや仏教との関連から精神的充足を見出す生き方が形成されていることを捉えることができた。 (3)青海の回教徒を見る限りでは、イスラム教徒の連帯から底辺階級は排除されはじめていた。それとあわせて、イスラム教指導者の権威が実質的に崩壊する事態も進行していた。 (4)西蔵族の底辺階級については、表面上においては平穏であった。これは貧困の共有であり、相互扶助などが生きている結果であった。しかし、知識人や宗教関係者においては漢民族への不満感情が蓄積しており、その影響の増大に対して静かな抵抗が続いていた。 (5)イスラム教徒とチベット仏教徒の歴史的対立が民衆の社会意識のなかに残存しており、少数民族の底辺階級間における連帯の形成を著しく阻害していた。 (6)漢族、少数民族を問わず、底辺階級の生活には宗教の問題が大きく絡んでいた。
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