本研究は、日本で就労するブラジル人労働者が日本とブラジルの間を行き来している状況を鑑みて、日伯の間には国境を越えて労働市場が成立していると考える。この国境をまたいで成立している労働市場において、労働力輸出国であるブラジルから労働力輸入国である日本の具体的な工場(就労場所)に労働者を送り込む日伯の組織的なつながり労働力輸出機構と把握し、この労働力輸出機構が一つの制度となっていることから、この制度の変化を比較制度分析の手法から分析することを通して、日本における外国人労働者の定着についての基本モデルを把握しようとするものである。 日本が少子高齢化社会を迎えてきている現状においては何らかの形で外国人の手を借りなくては日本の産業は成り立たなくなってきている。近年、規制緩和が一気に進んだが、こうした規制緩和政策で外国人を受入れるのではなく、外国人の権利にも配慮した受入のあり方についても本研究は検討を加える。
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